Dayzはノーリスクで「経営」までスラッシュワークにできる場所木内一朗さんは、Dayzをはじめ、おもに中小企業やスタートアップにおける戦略立案や組織変革などの経営を補佐するサービスを提供しています。独立・起業を果たしたのは2003年。きっかけになったのは、前職のリクルートでの出向経験です。出向先では、さまざまな業種にわたり新規事業開発や事業再生などのプロジェクトに携わりキャリアを積み重ねてきました。多くの業種・業務をスラッシュしたことが、いま取り組んでいる仕事のベースになっています。木内さん曰く、起業志望の方にとって「Dayzは今の仕事を辞めずにノーリスクで経営の仮説検証を試せる場所」とのこと。今回は、木内さんのこれまでのキャリアから見たDayzと求められる人材について語っていただきました。業種が異なる企業でも「経営」というスキルは共通─ 素朴な疑問なのですが、なぜ木内さんは「戦略コンサルタント」というサービスを提供できるのでしょうか。木内:私は、初めからこうした事業をしようと思っていたわけではありません。独立当初は事業再生に主に取り組んでいました。いろいろな事業と関わる中で、自然に自分の適性と情熱をもって取り組める仕事として、中堅・中小企業の(特に変革期における)戦略コンサルタントになっていたというのが正直なところです。─ 木内さんがこれまで経験されてきた業務内容と、そこから得た起業のきっかけについて教えていただけますか?木内:前職のリクルートでは、いくつかの情報誌事業の立ち上げから始まって、データベースの構築などもしていました。最初の出向時代には、関連会社の事業再生や新規事業の立ち上げのお手伝いをしたことで、大企業の経営における決定権者の方たちと接する機会に恵まれたのが、今の事業に繋がる大きな経験だったと思います。短期間でしたが、ボストンのコンサルティング会社への研修出向も経験しました。最後のリクルートエージェントへの出向では、IT化に伴うシステム構築設計にも携わっています。独立のきっかけは、こうした諸々の経験から得た人脈に後押しされたことです。最初の10年くらいは手探りでサバイバル状態でしたが、自分にできる仕事をこなしているうちに「オリジナル事業」として中堅・中小企業の経営者へのサービス提供を行うに至りました。─ Dayz以外にも、木内さんのサービスを提供している企業はどのような業種なのでしょうか?木内:詳しくはお話しできませんが、業種はバラバラです。例えば、広告代理店や工務店、通販企業やITベンチャーに、海外の現地法人などもいらっしゃいました。いまは食品販売や、住宅産業、リース会社やIT企業などを担当しています。支援内容も、事業承継や、経営戦略、人事制度改革などの組織変革、M&Aや事業売却など多岐にわたっており「これ」とひとことで説明するのは難しいです。─ 事業内容だけでなく、支援内容もとても幅広いのですね。疑問なのですが、ご自身で経験したことのない業種でもコンサルティングはできるものなのでしょうか?木内:業種がバラバラでも「経営そのもの」に共通点は多いんですよ。例えば、京セラの稲盛会長はKDDIを立ち上げ、全く違う業種であるJALの経営にも携わり、それぞれ大きな成果をあげています。「プロ経営者」と呼ばれる方たちは、いろいろな業種の会社の経営トップに招聘されるのは「経営」というスキルが、業種を問わずに通じるからです。できる人ばかりに頼っていると、それがボトルネックになる木内:実は、経営という仕事は、業種よりも企業の規模による違いの方が大きいんです。従業員の人数が10人と30人、さらに100人と1000人では、経営課題の内容は明らかに異なります。事業が拡大するにつれて、規模に適した組織体を構築する必要が生じるからです。─ つまり、規模が同じくらいの組織の経営課題は、業種を問わず似通っているということでしょうか。木内:そうですね。事業規模が小さいときは、コアメンバーが事業を伸ばしていきますが、ものすごく仕事ができる人がいたとしても、その人ひとりの人ができる仕事の量には限界があります。特定の人に頼っていたら、その人ができるところまでしか事業は伸びません。最初は優秀な人が事業を引っ張っていたのに、いつの間にかその人がボトルネックになってしまうんです。さらなるパフォーマンスを出すためには、他の人をアサインして組織を変える必要があります。─ 最初は社長が営業も広報も経理も人事も兼任していても、事業が育つにつれ、それぞれの担当が必要になるようなイメージですね。そうなると次は、メンバー同士の人間関係の問題が出てきますね。木内:企業にまつわる問題、そのほとんどには人間関係が通底しているといってよいでしょう。例えば、中小企業(特にスタートアップの場合)は人数が少ないため、全員が顔見知りです。そこに新たな仕事と人が増えると組織内の関係性が変化します。変化が生み出す軋轢は、まるでドラマのような問題を起こすこともあるんですよ。私がやっていることは、主に会社の外から経営を俯瞰して観察することです。第三者目線で、コード配線みたいに絡まる組織を解きほぐすこと。それと同時に「善い会社」として育つような事業モデルを見つけたり、実行するために必要な人材はどのような方かを考えたりしています。「善い会社」になるためには「愛」と「夢」が必要─ 木内さんのいう「善い会社」とは、どんな会社なのでしょうか?木内:仕事と報酬のバランスがよく、社員が適度に幸せな会社ですね。もちろん、本業できちんと儲けていることが前提です。社員が自分の仕事を顧客の目線からも他人に説明でき、労働時間は過重でなく、楽しく……とまでいかなくても、働くことが苦痛ではなく、競合より少しだけでも高い給料が出せる会社。それが「善い会社」だと私は思います。事業には利益が必要です。どんなに社会的な意義がある事業でも、無償で働く人は稀でしょう。仮に、社員の年収を800万円にするなら、一人あたりの粗利がどのくらい必要か、そのために必要なインプットができているか、仕事の負荷ができる人に偏り過ぎていないか、現在の事業のまま拡大できるか、新しい事業モデルを育てる道筋はあるか、それなら必要な人材は……考えることは無限にあります。さらに「長期的に利益が出せる事業体質」かつ「仕事にやりがいを感じる社員が多い」のが「善い企業」の長期的なゴールイメージです。クライアントがそういう会社になるように、私は、ご一緒している企業の道筋をだいたい10年スパンで見ています。─ ずいぶん長い期間で考えるんですね。木内:先ほど「経営」は、業種を問わず共通だと申し上げました。なかでも、中小企業はオーナー社長が多く、潜在的に後継問題があります。社会情勢は刻々と変わっていて、コロナみたいな「予期せぬこと」は必ず起こります。目先の資金繰りも大事ですが、利益を出し続ける企業になるためには、長期的な目線が必要です。企業経営は航海に似ています。私は、目的地に行くための水先案内人として航海図を描き、海の状況を見ながら必要に応じたルート変更や、メンバー交代のアドバイスを行う参謀役のようなものです。企業トップである船長と情報を共有しながら、最短ルートで目的地を目指しています。来たれ、ダイヤの原石。ダービーを勝てる馬(事業モデル)に育てよう─ 多くの企業の経営者に接してきた木内さんから見て、現在のDayzはどのような状況にあると思いますか?木内:いろいろな経営者の方と仕事をしてきた私から見ても、社長の玉城さんは良い意味で異質な存在です。事業だけでなくさまざまなことにアンテナを張っていて見識が広いし、動くスピードがとても速く、適切な予算配分もできています。その甲斐もあって、これからブレイクしそうな「事業モデル」がいくつか育ってきている状況です。ただし、事業モデルを「創る」と「育てる」とでは、それぞれ求められるリーダーシップが異なります。これからのDayzをより発展させるためには、事業を任せて育てるためのリーダー人材が必要でしょうね。─ 事業を任せるには、どのような方が適していると考えていますか?木内:経営を論理から実践に落とし込むために必要なのは、スキルよりもセンスです。巷にあるビジネス書を読んで理解はしても、独力で実践にまで落しこめる人はごくわずかでしょう。─ どのような方がセンスを持っていると思いますか?木内:生まれもった方以外だと、センスがある人を身近に見ていた人でしょうか。例えば、親兄弟や友人、勤務先の社長など、事業で成功した人が間近にいた経験があれば、それをロールモデルにできます。事業成功の感覚を掴みやすい立場にいた経験は強いですね。経営は、競走馬を育てるのに似ています。馬が「事業モデル」です。どんなに優秀な血統で素質がある馬でも、きちんと世話して訓練してくれる厩舎と、乗りこなしてくれるジョッキーがいないことには勝てません。勝てる馬に育てるだけでなく、相性の良いジョッキーを探し、馬とフィットさせるまでが経営です。─ 馬(事業モデル)を育てる人材だけでなく、ジョッキーも必要と考えると、確かに、明文化するのは難しいですね。木内:そうなんです。経営でも、馬を世話したり訓練する人材はスペックにしやすいのですが、事業モデルを育てる人、つまり最終的に馬を勝たせるジョッキーは、能力や経歴だけで適性を判断することができません。馬との相性もありますからね。私が考える名ジョッキーは、馬(事業)に対する「愛」がまず必要で、さらに「ダービーに勝つ」(その事業で成功する)という「夢」を持てる方です。スペックよりも、そうした要素を持つ方が、事業という馬を勝利に導いてくれると思います。─ 今のお話を聞いていると、馬を育てる「経営」だけでなく、例えば、勝てそうな馬を生み出したり(新たな事業モデルを創る)、名ジョッキー(事業を展開して成功させる)を探したりする(人事)ような仕事も求められているように感じました。木内:そうですね。Dayzに求められているのは、経営という仕事だけではありません。事業を進めるにあたっては、さまざまな役割が必要です。例えば、Dayzの募集要項や事業を見てみて、そこに書いていなかったとしても「こういう事業モデルも考えられる」「自分の知人にこのサービスをマッチしたら上手くいくのではないか」といったアイディアが生まれるような方は、Dayzとの相性が非常に高いといえるでしょう。─ そういう意味では、Dayzは現在の仕事を辞めずに新たな仕事の可能性にチャレンジできる場を提供しているとも言えますね。木内:実際に起業するとなると、今の環境をガラっと変えなくてはならなくなります。しかしDayzでは、副業として起業ができるし、やってみたい仕事をどんどん提案して作り出すこともできる。予算もつく。成功すれば自分の実績になるし、最後は社長の玉城さんが責任を持ってくれる。ほぼノーリスクです。もし自分がリクルートにいた時代にDayzがあったら、退職前に自分のアイディアを提案して事業化して成り立つかどうか検証できたのに……とすら思いますね。