井上志音(いのうえ・しおん)さんは、DayzのOSデザインチームにて、事業オペレーション全般の企画設計を担当しています。本業ではデジタルマーケティング企業の経営企画業務に取り組みながら、Dayzも含め副業は3社。さらに大学院に通い、結婚生活までリモートというパラレルな生活を送っています。そんな井上さんが、自分の性格にあった働き方の実現を目指すようになったのは、Dayzをはじめとして個人事業主として働く環境・人たちに出会ったから。さまざまな選択肢がある現在だからこそ、自分なりに動いたことで新しいライフスタイルが見えて来たそう。人生の「これから」を見つける手掛かりになれば幸いです。好奇心を糧に! 興味を持ったことにはどんどん取り組んだ─ 井上さんは、本業以外にも副業を3つするなど、とても精力的に活動されている方だとお聞きしました。もともとそのような性格だったのでしょうか?井上:僕は興味を持ったことはやらずにいられない性格みたいで、中高生時代から生徒会、軽音部、バドミントン部、アルバイト、趣味や遊びも含め活動範囲が広くなりやすい傾向にありました。自称「のんびりした性格」なんですが、友人からは「どこが『のんびり』なんだよ」と言われていたりもしました(笑)。ですが、大学2年次から就職活動の企業説明会に参加するようになって「このままでは受からない」と危機感を覚えました。─ そんなに活動的であれば、就職活動も難なくこなせそうな気もしますが……井上:僕は好奇心の赴くままにいろいろなことをやっていただけで、活動に一貫性を見出すのが難しかったんです。あえていえば「僕の好奇心」が軸ですが、僕にとって「何が」好奇心の動機になるのか説明をつけられなかった。そのような志向だったので「1つの会社で専念して働く」ことがスタンダードとなる就職活動はなかなかやる気が持てなかったんです。─ 確かに、就職活動では「自分はこういう人間で、こんな目的を持っていて、だから学生時代にはこんなことに力を入れました」といった流れが整っている方が好印象ですね。井上:その時点で興味がある企業に就職したとしても、また好奇心が湧いてきて別の仕事がしたくなるかもしれません。かといって短期で転職するジョブホッパーになるのも、自分の将来像とは異なるし……と、悩んでいたのですがある時、IT企業で働いている人には「自由度の高い仕事をしている人」の割合が高いことに気が付きました。そこで「案ずるより産むが易し」と思い、在学中のアルバイトとしてIT企業2社で働き始めることにしたんです。─ 当時の井上さんには、就職するにあたっての業種や職種の希望などはあったのでしょうか?井上:僕は経営学部で経営理論や組織論のほか、金融・財務や情報系を中心に専攻していたので、もし、自分が勉強していることが活かせる企業で働いてみたら「やりたいこと」も見つけられるかも……という目論みもありました。─ 実際にどういった企業で働いたのでしょうか?井上:1つは、個人・法人向けに金融サービスを提供する会社です。現在はプライム上場企業となっていますが、僕が入社した2018年当時は、前年にマザーズ市場に上場したばかり。サービスシェアを国内で大きく伸ばしていった時期で、会社にとても勢いがありましたね。そこで、暮らし・経済系メディアを運営する編集部で、記事の編集やSNSの企画・運用を担当しました。2つめは、ポータルサイトを運営する会社のニュースメディア部門です。こちらでもSNSの企画・運用の仕事を担当しました。この会社も、ちょうど新たな事業の柱であるQR決済サービスが国内で大きく躍進していた時期だったんです。2つの企業がそれぞれ大きく伸びるタイミングに立ち会えたことは、とても良い経験になったと思います。─ 確かに、Dayzメンバーの木内さんも「事業成功の感覚を掴みやすい立場にいた経験は強い」と語っていました。その2社での経験から、ご自身の進路を導き出したということでしょうか?井上:はい。実際に企業で働いてみたことで、自分がこれからどうやって働いていきたいか、2つの道筋が見えてきました。ひとつは、自分も「副業OK」の企業で働き、会社員として以外に個人事業主としても働いていこうということ。メディアには「業務委託」という形で副業として参画している方も多くいましたので、自分の働くイメージを固められました。それから、自分が学んできたことと、働いて得た経験をもっと広げて仕事に役立てていきたいということです。希望通りの企業に内定を得たが……「新卒」ゆえの悩みがDayz応募のきっかけ─ 井上さんは、大学4年生だった2020年にDayzに参画したと聞いています。経験者のみ採用のDayzでは異例のことです。当時の経緯を教えていただけますか?井上:就職活動は、自分の道筋を見つけられてからはスムーズに進み、3年生のうちにとあるデジタルマーケティング企業から内定をいただいて終了していました。しかし、4年生になってコロナ禍が始まり、それまで目指していた「働き方のイメージ」の方向転換を迫られました。その反面「リモートワークなら移動時間がないぶん、もっとたくさんの事に取り組めるのでは?」という発想の転換もあり、リモートでいろいろな活動を開始したんです。─ 具体的にどのようなことをされたのでしょうか?まずは、知識をインプットしようと、放送大学の大学院に入学しました。大学・大学院で得たものを仕事や会社経営にも活かせるよう実務的な知識を学ぼうと、中小企業診断士の資格取得の勉強も始めることにしました。ただ、その時点で僕は企業経営の経験があるわけではありません。そこで、全国の士業や経営者の方たちが集まる「日本経営士会」にも入会しました。若手ということを活かして、団体そのもののDX推進などに取組むことで、会の中でのポジションを確立していき、今では企業経営の事例研究や経営改善・経営革新計画作りのサポートなどに携わっています。そんな中、強く興味をひかれたのが、いち早くフルリモートに適した形態で人材活用をしているDayzです。幅広い年齢層、かつさまざまな業界での特殊な経歴やスキルのある方たちと交流しながら仕事ができる。しかも週1から参画可能というのは、私にとって理想の副業のカタチだと思ったんです。─ Dayzは基本的に経験者採用ですよね。社会人経験のない学生の井上さんだと、条件を満たしていないのでは?とは考えなかったですか?井上:「合わなければ採用されないだけ」だと思い、勢いでエントリーしました(笑)。面接では「理想の組織体制」について、社長の玉城さんと話が盛り上がったのをよく覚えています。人に合わせて事業やポジションを作るのがDayz流の経営─ 井上さんが、Dayzでどのような仕事をされているのか教えていただけますか?井上:最初は、玉城さんと新規事業企画の壁打ちから始まって、社内の事業方針と進捗を共有するためのダッシュボードの設計・運用に携わりました。その流れで、現在のOSデザインチームに加わり、Dayzの事業オペレーションを効率的に進められるように企画設計をおこなっています。バックオフィスを担当している大月さんも、インタビューで「定型業務は3割」と仰っていたように、Dayzの事業運用体制は一般的ではありません。その時々でいろいろな業務が生じます。そこで、最近では社内の申請手続きの簡略化・最適化などの設計を進めつつ、補助金申請や決算などに係る事業計画書の作成・運用なども始めました。ちょうど、中小企業診断士資格の勉強の実践の場となっています。─ 「Dayzは事業運用体制が一般的ではない」ということですが、どのようなところが他の企業との違いだと思いますか?井上:ふつうの会社組織は、まず仕事やポジションがあって、そこに合う人材を採用しようとしますよね。それに対して、Dayzの組織は、人に合わせて事業やポジションを作るという考えで成り立っています。Dayzの社内で得た経験を自分のキャリアに反映させ、そこからまた新たな仕事を創造する……そのキャリアパスを自分で描き、さらに自走できる人を絞ってメンバーにするので、採用コストを削減しながらも、生産性と利益率、さらに人的資本のパフォーマンスを向上することにつながっていると思います。Dayzに向いているのはこんな人─ ところで、井上さんはすでにDayzに本業の方を何名も紹介されているそうですね。井上:はい。いま振り返ってみたら、社内外を問わず10名以上の方にお声がけしていました。僕のように週一での定期的な副業だけでなく、プロジェクト単体での参画やスポット参加など、その方のライフスタイルに合わせてDayzに関わっていただいています。─ そのご経験から見て、どのような方がDayzに向いていると思われますか?井上:それぞれ性格やスキルも異なるのですが、ひとことで言えば「変化を楽しめる人」でしょうか。好奇心が強く、状況が変わったらそれに応じて新たなアイデアやモチベーションが生まれる人が良いと思います。Dayzは実践的なアドバイスやヒントを得やすい場所です。自立した幅広いメンバーが揃っているので、Dayz内の仕事だけでなく本業や今後のキャリアの選択肢についても相談できます。仕事を通して実のある異業種交流会をやっているようなものです。互いの仕事ぶりを見ているので、Dayzの外での事業を紹介し合ったり、その成果が自分のスラッシュワーカーとしての価値を高める。そこで得た知見が、回り回ってDayzでも役立つという循環にも繋がります。─ なるほど。ここまでの文章や他の方のインタビューも読んで「自分ならDayzでこうした仕事をやったり、試してみたいことがある」と想像できた方は、一度玉城さんと話してみると良いかもしれませんね。井上:僕は、組織論を勉強していることもあり、いま、多くの国内企業が直面している採用難や専門人材不足はこのままの人材活用を続けていったら立ち行かないのではと危惧しています。でも、Dayzのような会社が世の中には存在していて、しかも事業を拡大しながら存続できていることは、もっと世間に知られてほしい。それが、新たな組織づくり・事業づくりの可能性を示すことになるのではないでしょうか。