自分のコアな強みを生かしてスラッシュを増やす働き方現在、株式会社Dayzのプロダクト「ルールテック」のプロダクトマネージャーを務める畠山さん。以前は、某グループ企業内のシステム担当をされていました。しかし、企業組織では自分の思うようなキャリア構築は難しいと考えた畠山さんは、30歳を区切りとして退職。それからスラッシュワーカーへの道を歩みはじめることになります。今回は、畠山さんの働き方と、これから求められるスラッシュワーカーの在り方についてお話を伺いました。「やる仕事」は、目指すキャリアから逆算して決めている─ 畠山さんが現在たずさわっているお仕事を教えていただけますか?畠山:現在、Dayzでは「ルールテック」というクラウドサービスのプロダクトマネージャー(以下PM)を務めています。ルールテックとは、規約・規程・規則等の事業主が定めるルールについて、フォーマット作成・送付・公開・同意取得・管理までの一連プロセスを支援するサービスです。企業と従業員の間の必要な決まりごとについて「言った言わない」の問題を解決することを目指しています。それから、複数の中小企業のシステム担当。企業における情報システム人材の不足をまかなうために「週一情シス」をやっています。コロナ禍でリモート勤務が主になったこともあり、出向かずに在宅で完結することが多いです。他には、某東証グロース上場企業における顧客管理システムのPMも兼任しています。また、個人で単発の仕事を受注したり、自身でちょっとしたサービスを立ち上げたりしたこともありました。─ 幅広いお仕事をされているのですね。畠山さんがお仕事を受注する基準にはどのようなものがあるのでしょうか?畠山:私には「人のためになるサービスを生み出し続けたい」という思いがあります。そのために「仕事をお引き受けする基準」を3つ設けました。まず1つ目は「そのサービスが人のためになるかどうか」です。自分が参画する事業・サービスが、どのようなエンドユーザーの、どんな困りごとを解決できるのかを具体的にイメージできるかどうかを見ます。次に「自分が、その事業・サービスをより良いものにするために役立てるかどうか」です。お引き受けするからには、より高いレベルでの完成を目指したいと考えています。最後に「その仕事を通じて、自分の価値を高められるかどうか」です。仕事としてお引き受けする以上「自分の価値を提供する」のはもちろんですが、同時に「自分の価値を高める」ことも重視しています。また、まるっきり「個」で仕事をするのではなく、あえてクライアントのチームに加わって仕事をすることも多いです。そこで、企業におけるコミュニケーションや組織運営を学ぶことも大事にしています。─ 意外ですね。企業を退職して独立される方は、個人でお仕事されたい傾向があると思っていましたが……畠山:私の目指すサービス開発は、個人で完結できることは少なく、さまざまな領域における専門家の皆さまの協力が必要です。そのため、多くのクライアントの支援をおこなうことで、グループとしての働き方の経験値も上げたいと考えました。あくまで私の場合ですが、フリーランスとして個人で動いているだけだと、いざチームで働こうとしたときに「何が求められているのか」を探る力が弱くなると感じています。─ 職種・働き方については、あくまで「自分の将来像」から考えているということですね。畠山:私は現在、さまざまな経験を得るためにフリーランスを選択していますが、フリーランスという働き方にこだわっているわけではありません。その時に最適だと判断すれば、企業に所属する選択をすることもあるでしょう。私が優先しているのは「働き方」よりも「その仕事が、将来的にどのように活かせるか」ということです。この軸を持っておくことで、自分のできる仕事の幅が広がり、得るものがより大きくなると考えています。住む・働く場所 / 働く内容・時間は自分で決める─ スラッシュワーカーとして働き出して、生活が大きく変わったことはありますか?畠山:住む場所についての制約がなくなったので、東京から大阪に転居したことですね。前から大阪には一度住んでみたいと思っていたんです。私が退職したのは2020年の2月で、ちょうどコロナが大きく取り上げられ始めて、仕事が在宅ワークに替わっていった頃でした。現在は、主に自宅で仕事をこなしながら、必要に応じて外出したり、東京に出張したりという生活を送っています。─ Dayzでは、他のメンバーの方もそのような感じなのでしょうか?畠山:Dayzのルールテックプロジェクトを例にとると、携わっているのは全体で20名ほどです。居住地はバラバラで、それこそ北は北海道から南は沖縄までいらっしゃいますね。打ち合わせの時間以外に特に定時はなく、主にSlackとGoogleMeetでコミュニケーションをとっています。─ どのような働き方をされているのか、本日のタイムスケジュールを教えていただけますか?畠山:本日はこんな感じです。8:00 起床9:00 業務開始9:00~10:00 プレゼン準備10:00~12:00 A社プレゼン12:00~13:00 ランチ13:00~14:30 B社タスク(仕様変更に伴う問い合わせ対応など)14:30~16:00 当インタビューこの後は、C社のシステム新規導入に伴うタスクの棚卸と、これからの仕事のスケジューリングをする予定です。18時前には終わってからはフリーなので、今日は飲みに行こうかと(笑)。─ きちんとプライベートの時間も確保されているということですね。複数の仕事の管理はどのようにされているのでしょうか。畠山:自分の仕事が遅れたらチーム全体に響くことも考え、大まかな予定はGoogleカレンダーを使い、管理しています。スラッシュワークで働いていると、いくつもの仕事が並行するので、優先度が分かりにくくなりがちです。そこで、基本的にタスクに締め切りをしっかり設定し、そこから逆算して優先度を決めています。これからのスラッシュワーカー(スラッシャー)は「業種 / 職種」より「工程」を広げるべき─ 最近では、副業を解禁する企業も増え、複数の仕事をこなす方も珍しくなくなってきました。畠山さんは「スラッシュワーカー(スラッシャー)」という働き方について、どう考えていらっしゃいますか?畠山:いま「スラッシュワーカー(スラッシャー)」という働き方は、主に「業種 / 職種」のオペレーションを複数こなすという風潮が強いように感じています。しかし、まるで違う業種の掛け合わせだと、それぞれの専門性が低いとみなされるリスクもあるのではないでしょうか。スラッシュワークに挑戦するなら「業種 / 職種」よりも「工程」にこだわった方が役立つというのが、私の考えです。─ 「工程」のスラッシュワーカーとはどのような働き方なのでしょうか?畠山:組織を段階的に見ると、まずは上流にプロジェクトなりビジネスがあって、そこから各業種のチームのマネージメント、さらにオペレーションを束ねるディレクションがあって、下流には、販売なり事務処理なり、文書作成なりを行う各オペレーターがいる……というようにざっくり分けられます。「工程」のスラッシュワーカーとは、例えば、オペレーションをしながらディレクションにも関わるとか、マネジメントをしながらディレクションにも携わるような働き方です。─ それは会社組織では難しい働き方ですね……畠山:上流・下流というと、下から修行を積んで上に行くというキャリアパスがあるように見えますよね。ですが、多くの企業では、配属で決まった工程以外は実務経験を積めないというケースも多いように思います。例えば、実際には下流は研修のみで、実務では上流のみしか経験できなかったり、逆に、下流業務ばかりで、上流工程はなかなか経験できないというようなケースです。上流と下流では、求められる役割や資質が異なります。それぞれの仕事を知らないと、適切な仕事配分は難しいのではないでしょうか。─ 確かに、上からの指示が現場を混乱させるというのはよく聞く話ですね。畠山:上流で下流の問題をキャッチしておかないと、非効率な運営をしてしまうかもしれません。逆もそうで、オペレーションにこだわりすぎても全体として最適な道に進めません。「どんな意図でこのコミュニケーションが発生しているのか」を、俯瞰して見るためにも、上下の工程をスラッシュすることはとても大事だと思います。─ スラッシュワーカーが組織に果たす役割は実は大きいのですね。畠山:そのためには、上流・下流にとらわれず、互いの立場を尊重することが重要です。組織の規模が大きいほど、上流と下流の間をつなぐキャリアを持つスラッシュワーカーが必要だと考えています。Dayzなら自分のキャリアになる「スラッシュワーク」を作れる─ Dayzでは、畠山さんが求める働き方ができると感じられたのでしょうか。畠山:Dayzは「事業領域は、定義しない。」がコンセプトの会社なので、働き方についても考え方がとても柔軟です。社長の玉城さんは、上流⇔下流だけでなく、さらに斜め方向に広がるようなスラッシュワークを経験する機会も提供してくれます。─ 斜め方向のスラッシュワークとは、どういうことでしょうか?畠山:私を例にとってみますと、元々の専門領域はシステム部門のマネジメントです。Dayzでは、それに加えて営業戦略会議や、弁護士さんや弁理士さんを交えた法務関係の議論にも参加することがあります。これらは、私が担当するシステム開発のさらに上流工程のマネジメントやシステムのバックボーンに必要な知識を補強することに役立っています。つまり上下のスラッシュです。さらに、自分がメインで携わっていない事業会議に参加することもあります。これは斜めのスラッシュですね。システム部門のマネジメント領域で培ってきた「物事を構造化して説明する」スキルを、他の領域でも応用しながら切り込んで行くというイメージでしょうか。─ こうしたスラッシュワークは、畠山さんの最初の経験がそもそも上流工程だったからできるのではないでしょうか?畠山:そんなことはありません。例えば、大規模システムのオペレーションを実務にしている人なら、厳密なシステム運用ルールの作成 / 遂行が身についているはずです。このスキルを使えば、属人化が進んでしまった組織の業務を標準化(マニュアル化)するための支援を、ディレクション領域でこなせるかもしれません。いずれにしても、Dayzでのスラッシュワークは「できること」をただ増やすということでありません。自分のコアな強みを活かしてスラッシュを増やすイメージです。─ 新たな職種にチャレンジしたくても、自分がいまやっている業務が、募集されていないこともありますよね。畠山:自分がやってみたい仕事が(現時点で)ないのであれば、代表の玉城さんと話してみることで、自分のやりたい事を活かした新たなビジネスが生まれるかもしれません。玉城さんはアイディアマンなので、前向きな思いがあれば、きっと良い議論ができると思います。─ Dayzでは、どのような人材が求められていると思いますか?畠山:自分の強みや適性を知っていて「やりたいこと」をきちんと明文化できる人が向いていると思います。特に、前段でお話したような、上流⇔下流のスラッシュを作っていきたい人にはおすすめです。企業に所属していると、上流⇔下流の行き来は自分の意志ではなかなかできません。希望を出しても年単位での人事部からの異動を待たないといけないことも多いと思います。まずは副業としてDayzに参画していただくのも、新たな経験を積めるという意味でとても価値あることではないでしょうか。Dayzは、いろいろな可能性を与えてくれる場だと思いますが、そこに執着せず「新たなキャリア構築の場として活用しよう」という意気込みがあるくらいが良いと思います。─ Dayzに応募するにあたって、まずは何から始めたら良いですか?畠山:これまでの経験・職歴を棚卸して、以下のようなことをまとめてみると良いと思います。自分は何をやってきて、何ができるのかこれから何をやってみたいのかそのために何をしているのか(知識を身につけるなど)新たなスラッシュの後に何を付け加えたいかを、自分で決めてみたい方は、ぜひ応募してみてください。